本年5月に最新鋭のデジタル印刷機“HP Indigo 7K”を導入いたします。
これにより従来のオフセット4色印刷の表現域を超える「6色印刷」サービスの提供を開始します。
“6色”とはカラー印刷に必要な従来のCMYKの4色に、ビビッドピンク、ビビッドグリーンの2色を加えた6色です。CMYKでは再現できなかった中間色域をこの2色を加えることで、より広い色域を再現できるようになります。
世のデジタル化に伴い、お客様が作画・彩色される環境や使用されるデジタル機器は明らかに進化しました。そしてデジタルデータでの入稿は当たり前のこととなり、モニターの彩度(解像度)が向上しているので、作画されたオリジナルの“RGBカラーモード”イメージと、印刷するために用いられる“CMYKカラーモード”のイメージギャップが顕在化しはじめています。
「印刷仕上がりが沈むのは当たり前」という時代から、「いかにRGBオリジナルを再現するのか」という命題に取り組む時代となりました。
媒体(紙や化成品など)に転写(再現)するにはインキが必要で、この色料の3原色がCMYです。理論上ではこの3色を混ぜれば全ての色を表現できるはずですが、黒色は“締まりのない黒”にしかならないので黒インキが追加され“CMYK4色印刷”が業界標準として採用されています。世の中にある量産されたほとんどの印刷物は4色カラー印刷です。
つまりRGBカラーモードのデータは、印刷するためにCMYK変換されます。ここでCMYKの4色分解するのをピンク、グリーンを加えた6色分解して印刷するのが今回の6色印刷です。藍(C)、紅(M)、黄(Y)、墨(K)の4色インキで再現が難しいとされるオレンジ、ピンク、パープル、グリーンなどの色域がビビッドピンクとビビッドグリーンの追加2色のインキでカバーされます。6色で印刷するので再現性が高くなるのは当たりまえで、誤解を恐れず言えば「印刷ドーピング」と言えるでしょう。
デジタル印刷機のメリットは「 “印刷版”不要なので多色印刷に移行しやすい」「インキやトナー自体が広色域」。デメリットは「インキがとても高く、生産性は低い」こと。市販されているインクジェットインキでも分かるように、再現性に優れる分だけ価格はオフセットインキの軽く10倍は超えます。
つまり、小部数であるほどコストメリットがあり高品質を享受できますが、数量が多くなるにつれ高品質ではあるがコストも高くなってしまうというジレンマがあります。だから世の中にある大量生産された商業印刷物のほとんどは4色印刷のままなのです。
ご利用にあたり、皆様に申し上げておかなければならないことがあります。
それは「商業出版で発行されている多くのカラー印刷物よりも高品質になってしまう」という点です。「キレイになって何が悪い!?」と思われるでしょうが、長年、印刷業界に携わってきたものとして6色印刷は「パンドラの箱を開ける」に等しい“禁じ手”を使うことになるのかもしれないとの思いがあります。
はじめて同人誌を作られるお客様にとってはこのエピソードは関係のないことですが、印刷の歴史の中ではエポックメーキングな出来事になるかもしれないことを頭の片隅に置いておいてください。
6色印刷は以下でご利用可能です