トーンや細かいパターンなどで起こるモアレについて。
モアレ(干渉縞)とは、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせたときに、それらの周期のズレにより視覚的に発生する縞状の周期的なパターンのことです。
トーンの重ね貼りや不良トーンなどで原稿自体に生じるほか、印刷工程上でも発生することがあります。
現在トーンは無数の種類が配布され、自作もできますので、当社でそのすべてをチェックすることはできません。特に原稿に起因するモアレに関しては、対処することもできません。
モニタ上では発見しづらいものですので、綺麗な本を作るため、作成の段階でモアレの出にくい原稿を心がけましょう。
※原稿に起因するモアレに関しては、ご連絡なく、そのまま納品させていただくこともあります。ご了承ください。
※原稿に起因するモアレについてご了承いただける場合は、注文時の備考欄に「原稿が原因でのモアレについては了承済み」の旨をご記入ください。
印刷をする際に、印刷物はアミ点の状態で出力されます。
(これを線数と言い、線数が高いほどアミ点が小さく、間隔が狭くなります。)
出力方法は、主に2通りです。
AMスクリーニング方式 | 均一な大きさの等間隔で並んだアミ点で出力するもの。 |
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FMスクリーニング方式 |
AMスクリーニング方式よりも細かい砂目状の点を不均一に散らしたもの。 高精細印刷とも呼ばれる。 |
AM方式では、スクリーントーン自体がアミで作られているため、トーンのアミ×印刷出力のアミとなり、
アミとアミのかさなった状態(=モアレ) が発生しやすくなります。
一方、FM方式では不均一に散らした点で出力しますので、印刷出力側のアミをなくし、モアレの発生を抑える効果があります。
ただし原稿自体を直しているわけではありませんので、原稿自体がモアレの出やすい状態ですと、FM方式でもモアレが発生してしまいます。
当社でのFM方式印刷は、印刷コースや使用する紙種により、全対応ではありません。
また再版の場合でも、初版では出なかったモアレが、印刷所や注文の仕様を変更することで発生してしまうトラブルも起こりえます。
モアレの起こる原因を理解し、最初から【モアレの出にくい】原稿を作ることが、一番の解決策となります。
モアレの原因として一番多い状態です。
アンチエイリアスをトーンのアミ点に対して行うと、画面上は綺麗に見えても印刷に適さなくなってしまいます。
※アンチエイリアスとは
物体の輪郭を背景と融合するようにグラデーションをかけ、色(文字や曲線)を滑らかに表示させること。
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アミ点の1粒ずつにアンチエイリアスがかかっていると、出力時に薄い濃度のグレー部分が飛んでしまい、アミ点の形が崩れてモアレの原因に。 |
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アンチエイリアスがかかっていないK100%のみのアミなら、出力時のアミはかからず、形が保たれたまま再現できる。 |
モノクロ2階調だとアンチエイリアスをかけることはできませんが、左図のような状態は同様に起こりえます。
(例:グレースケールで作成中にアンチエイリアスのかかったトーンを使い、最後にモノクロ2階調するなど)
ご自身でパターン定義・フィルタ等の自作トーンを作る場合や配布されているトーンを使う場合にも、アンチエイリアス状態のトーンを作らない、使わないことが重要です。
原稿データを拡大してみて、トーンのアミ点の周りにグレー領域が残っていないか、確認しましょう。
※クリップスタジオ・コミックスタジオで作成される場合は、印刷会社用のデータに書き出す際、色深度を『モノクロ2階調』にすることを推奨しております。
白黒のアミになっているトーンも、それ自体の濃度を落とすことによって、アミ点がグレーになり、モアレが発生します。
(トーンのアミ×グレーになったアミ点にかかる印刷出力のアミ)
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フォトショップ等でトーンレイヤーの透明度を変えたり、素材自体にさらにフィルタをかけたり、
濃淡の出る白ブラシでぼかしたりすることも同様の状態を引き起こしやすいので、注意が必要です。
また最初からグレーの状態で配布されているトーンも考えられますので、使用前によくご確認ください。
グレーの塗りつぶし単体なら問題はありませんが、その上にアミ点トーンがあると、モアレが発生します。
(グレーにかかる印刷出力のアミ×トーンのアミ)
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グレースケールで作業する際、一度トーンを配置した後に拡大・縮小を行うと、自動的にアンチエイリアスがかかります。
またトーンの角度を回転させることも、アンチエイリアス処理がかかってしまう要因となります。
モノクロ2階調での作業でも、極端に縮小するとアミ点が飛んだり、回転によってアミ点が変形してしまったりしますので、
一度配置したトーンは安易に変化させない方が安心です。
また作成した画像を他のアプリケーションに配置する場合も、配置後に拡大・縮小・回転を行うと、
アンチエイリアスがかかってしまいます。
配置する予定のある画像は、必ず配置用として原寸で作成しましょう。
2種類のアミ点間隔(線数)が違うトーンを重ねたり、線数が同じトーンでも回転させて重ねたりすると、アミ点の間隔や形がランダムな状態になり、モアレが発生します。
グレースケールでスキャンすると、アナログ原稿では問題のないトーンに対し、アンチエイリアスがかかってしまいます。
モノクロ2階調でスキャンすると、アミ点とアミ点の間に影のような点が入ってしまうことがあり、
これを補正せずに印刷用データとして使用すると、アミ点間の点まで印刷されて、モアレの原因となります。
またこの場合はアナログ原稿よりも濃く、汚くなってしまうことがあります。
アナログ原稿をスキャンしてデータ化される際に発生するモアレは、現在のところ回避しようがありません。
アナログのトーンをデータ化しないようにご注意ください。
トーンにグレーが混ざると、お互いが干渉し合い、モアレが発生しやすくなります。
ただグレースケールのデータがすべてモアレになるわけではありません。
※グレーの濃度は拡大・縮小しても変化しませんので、アミ点化する前であれば、塗りつぶし部分を拡大・縮小しても、原稿側のアミはないので、モアレは起こりません。
モアレの仕組みを理解し、モアレの出にくい原稿作成を心がけましょう。